全国展開の100円均一ショップ『ダイソー』にてこのたび、ボードゲーム『クローバーブーケ』が発売されました。

クローバーブーケ

クローバーブーケ』は、2019年のコミックマーケット96で久遠堂から発表された二人用対戦ゲームです(オリジナルタイトルは『白詰草の庭』)
制作元の久遠堂は、「初心者女子向け」をコンセプトにかわいらしいボードゲームを多数制作している、久遠さんの個人サークルです。

今回は『クローバーブーケ』発売記念として、久遠さんにスペシャルインタビューを行わせていただきました!
ゲーム開発時の思わぬ秘密も明らかに!?

 

 

女の子に手にとってもらうためには、まず……

──年末のお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。まずは、読者様あてに簡単に略歴等お願いできますでしょうか。

まずは私個人の略歴ですと、東京在住の30代女性です。普段はイラスト・デザイン関連やイベントの企画、運営などの仕事をしております。
ゲームマーケットに初参加したのは2007年からですが、その頃は違うサークルで参加しておりました。久遠堂という屋号では2015年から参加させていただいております。
最初はゲームではなく、TRPG関連やボードゲームモチーフのグッズやTシャツ、アクセサリー・雑貨などを売る「その他」と呼ばれるジャンルでの出展でした。

──『ゲームマスターTシャツ』やミープルたちですね。

TRPGやボードゲームのユーザーであることをアピールできるシャツやアクセサリーが欲しかったのです。
しかし当時は、そういったものはどちらかというとネタ枠で、おしゃれなデザインのものは少なかったため、普段から街中で着用していても違和感のないものを作ろう、と思ったのがきっかけです。

 ミープルネックレス

──そこから久遠さん自身が求めるものの一環として、アナログゲーム初心者・女性向きのボードゲームの制作を始めた、と。

ボードゲームを出したのは2016年が最初になります。
もともと私の周りには女性のボードゲーマーが少なかったんです。当時はボードゲームカフェが流行り出したばかりの頃でしたが、ボードゲームカフェに女性が単身で、あるいは女性だけのグループで遊びに来る、というのもまだまだ珍しいことでした。
一緒に遊んでくれる女の子の友達がほしいなー、と思い、そこから「初心者女性向け」というコンセプトでゲームを作ろう、と思い立ったわけです。

──ああ、私も紅一点ないしそれに近い状況で色々肩身が狭い経験をしたのでよくわかります。

一番最初は『ケーキバイキング!』でした。
次が『ジュリアーノ王子の貢物』、それから『キツネと葡萄』……だったかなぁ……ちょっと色々リリースしまくってて順番はあやふやです。
ケーキバイキング!』は、もともと丸カードで作りたいと思っていたので、合う箱を探すのに苦労しました。最終的に生キャラメル用の無地の箱を見つけて、「これだー!」ってなりましたね。

 

──そういったコンポーネント一つ一つへのこだわりが、女性にもぱっと伝わりやすい「かわいい!」になってるんですね。

女の子は厳しいので、見た目がかわいいとかおしゃれじゃないと、まず手に取ってももらえないんです。「女子ユーザーを増やしたい!」が初動なので、何を置いてもまずは手に取ってもらえなくては始まらないな、と思いまして。
「なにこれ、かわいい!」「おしゃれ!」から入ってもらえるように、作品の見た目には気を遣っています。

あ、でも最初の『ケーキバイキング!』は、はじめてのことで気が回っていなかったため箱裏に何の説明もなく、ユーザーの皆様にはご不便をおかけしました。
今はちゃんと箱裏に説明入れてます。すみません……

最初は「あくまで候補だった」はずが?

──さて、そろそろ次の話題をば。今回は『クローバーブーケ』発売ということで、大創出版さんからお話が来た時期や最初のお気持ちをお伺いしてもよろしいでしょうか。クローバーブーケ

ざっくり1年ほど前のことでしょうか。まず最初は、名指しでオファーというより、「候補のうちの1件に入れたいのですが、提案させていただいても大丈夫ですか?」という形でした。
ので、「どうせ選考落ちするだろうから、まあどうでもいいや」と思ってました。

──なるほど……あくまで候補のひとつ、だったのですね。

選考に通ったら通ったで、他の作家様がもう本当に錚々たる皆様ですので、こちらは「ウチでいいんだろうか……大丈夫か……他にも相応しい人はいくらでもいるぞ……」ってずっと思ってました。

──たしかに、アナログゲーマーなら一度は聞いたことがあるような方々の名前が並んでいますね。

しかし、逆にウチみたいな小規模のクリエイターも「作品が企画主旨に沿うものと評価されたらお声がけいただける」というのは夢のある話だな、とも思いました。

──確かに、全国のお店で自分のゲームが販売される、というのはロマンですね!

いやまあ、そもそもロマンすぎて本気にはしてなかったんですけどね……

紙の箱が付き、カードもグレードアップ!

──ここで、『白詰草の庭』と『クローバーブーケ』の違いについてお伺いしてもよろしいでしょうか。

あ、ルールはなんにも変わってません!

──では、あくまでタイトルとコンポーネントの違いだけということでしょうか?

変更点というと、まずは形でしょうかね……
初版の『白詰草の庭』は2019年のコミックマーケット96で発表しまして。その時は思いついてからイベントまで日数が短かったということもあり、名刺印刷+名刺ケースにシール貼りという形での製作・販売でした。

その後、63×88mmカードでリメイクされたのが、コノスでも取り扱っている『白詰草の庭・新版』ですね。

白詰草の庭・新版

コミケで発表した初版が好評だったのですが、印刷不備があったんです。印刷し直している時間がなかったので、本来出したかった部数から半減してしまったんですね。
そこで、名刺印刷じゃないちゃんとしたカードで、ゲームマーケット2019秋で出したのが『白詰草の庭・新版』になります。

──なるほど、確かにそれは……

確かコミケが8/9だったのですが、思いついたのは7/31夜で、そこから2日で練り上げ、アートワークを1日で仕上げて特急料金で印刷に出したんでした……(遠い目)

──え!!?

届いた時に角丸ミスを発見した時は「あああ……」でしたね……

──そ、そこから紆余曲折あって現状に……『白詰草の庭・新版』は裏側の色もそれぞれ異なりますよね。

そうだ、それがあった! 初版はカード裏はどちらも同じ色だったんでした!
互いに1枚ずつ相手からカードを引くというシステム上、遊び終わった時にどうしても手札が混ざるので、選り分けやすいように新版から裏面の色を変えたんです。

──TCGでも「相手のカードのコントロールを奪ったら後で混ざってしまった」というのはよくありますね。

クローバーブーケ』は、当初はもう少し一般ウケしやすいアートワークに変更される可能性もあるかも……というお話だったのですが、結果としては何ひとつ変更なくご採用いただきまして。
絵描きとしましても、とても嬉しかったです。

──ふわふわした雰囲気が出ていて素敵です!

クローバーブーケ

──他に変わった点はなにかありますか?

あ、箱がつきましたね。

──ダイソーさんだと吊り下げ販売もあるので、外箱が必要だからですね。

コノスさんにもお預かりいただいているのでお分かりかと思いますが、新版はプラスチックのピロー型ギフトケースだったんですよね。
いや、ピロー型ケースにした理由は、見た目がかわいいのに加えて紙箱より安価だったからですが。

──前の話題でもありますが、かわいいの大事です!

そしたら、女性からはとても好評だったのですが、ゲーマーの皆様からは「持ち歩くとぺもぺも潰れて白っぽく傷がつく」「強度がない」「置きづらい」「積みづらい」と大変不評で。

──ぺもぺも。

今回、「紙の箱がついたのか! 買うわ!」って方がいらっしゃいましたね……

──確かにそれは箱が必要だ……

あと、今まではマットPPだったカードがダイソー版はエンボス加工になりましたので、実質グレードアップしてます。

──おお、豪華!

……一瞬だけですが「これダイソーで仕入れてきて、中身だけピローケースに移し替えて売っちゃダメかなー」って本気で思いましたね。

──いやいやいや!?

あっ、やりませんよ! 大丈夫ですよ!?

──では、タイトルの変更も「一般層向けにキャッチーな雰囲気で」ということでしょうか?

あ、そうです。『白詰草の庭』って、なんかおしゃれで文学的な感じがするんですが、やはりゲームであることが分かりづらいし、わかったとしても何をするゲームなのかイマイチ掴みづらい、とのことで。
いくつか候補があったんですが、花束を取り合うゲームですので、分かりやすく『クローバーブーケ』になりました。

──たしかに、ゲームってカタカナ名が多いイメージはありますね。

タイトル変更にあたってはロゴだけ差し替えになるため、新規にデザインを作らせていただいたのですが、これはこれでかわいいので気に入ってます。

──『クローバーブーケ』の新しいロゴは、「美しい」「きれい」イメージがありますね。こちらも素敵です。

強く影響受けたものは、『あの有名漫画』!?

──それからこれはあくまで、個人的な好奇心からお聞きしてみたいことなのですが。『白詰草の庭』『クローバーブーケ』の「かわいらしいテクスチャに覆われた、どす黒いテキストと雰囲気」が好きなのですが、あれはどこから出てきた発想なのでしょうか。比較的ポップな雰囲気のゲームの中で、『白詰草の庭』『クローバーブーケ』のテキストは、こう、「強い」ですよね。

えーと、麻雀漫画の『天』ってご存知でしょうか。

──福本伸行さんの作品ですね。

クローバーブーケ

アカギの通夜編に、麻雀牌を使用した「9(ナイン)」というゲームが出てくるんです。
白詰草の庭』は、それの影響を色濃く受けていますね。

──なんと!そういえば言われてみると……

ケーキバイキング!』も、見た目はかわいいけどカロリーを押し付け合うゲームですし、『ジュリアーノ王子の貢物』もお姫様のワガママがえぐいし……

──そ、そういえばたしかに『ケーキバイキング!』も!

もともと作者自身がドロドロなんですよねー。でも女の子って、ドロドロしたテーマも意外とウケるんですよ。見た目とギャップがあるのも好評です。
どす黒いやりとり大好きなんですよね。てへ。

──このあたり、どこまで載せられるんだろう?

この辺はまあ、普段も別に隠してないですから、載せていいんじゃないかな。
うまいこと編集してください。

終わりに

──さて。2020年末、このようなご時世ではございますが、アナログゲームの今後について考えられていることがございましたらお伺いできますでしょうか。

そんな大層なこと考えられるような身分じゃないですよー。
ただ、みんなオンラインで集まって遊んでたり、遠隔でも遊べるゲームが出てきたり、どうにかうまいこと対応しながら進化しながら、みんな遊ぶのはやめないんだろうな、と。そこはちょっと安心してもいます。

──そうですね、そこは本当にホッとしています。TRPGも、オンラインセッション環境がどんどん充実していますし。

集まって遊ぶにしたって、みんなそれぞれ対策を考えたり、具合が悪かったら自重したり、自分にできる精一杯のことをしているわけだし、悪手だったかどうかが分かるのはまだ先の話だと思います。
その間にもどんどん盤面の状況は変わっていくので、必死に食いついていくしかないですね。

──ですね。ようやっと1年ですし、結果が出てくるのはまだまだこれからです。ゲームマーケットも2020秋が無事開催、そして2021春と大阪の開催も決まりましたし。まだまだここからが踏ん張りどきです。

イベントは開催してもらえるだけ御の字ですね。
また、最近は動画配信をしてくださる方などが増えて、イベント以外にもアピールの場が少しずつ増えてきたと感じています。
ダイソーさんのようなところがボドゲを出してくださるのも、新しい動きのひとつです。
いろいろな賛否の意見が出てきて当たり前だと思いますが、まだまだ裾野が広がって多様化していくはずなので、柔軟に受け止めてもらえたら嬉しいですね。

特に今までゲーム触ったことない女の子ね! なたを沼に引き摺り込むためにゲーム作ってますのでね!

──これはいいシメだ。

女の子に囲まれて!チヤホヤされたい!!

クローバーブーケ

──では、最後になにか一言ありましたらお願いします。

ボードゲームってよく分からない、難しそう、っていう人はまだまだ多いので、初心者向けのゲームを作る方がもっと増えて、敷居が下がるといいなーと思います。
女の子に限らず、いろいろな人にボドゲという文化に触れてもらい、広がっていくと嬉しいですね。
将来的にはユニクロからTRPG柄のTシャツが出たり、ティファニーにミープルモチーフのアクセ出したりしてほしい!

──今回のダイソーさんを期に、幅広い層にアナログゲームが普及する未来が楽しみですね!本日はお時間いただき、どうもありがとうございました。

ゲーム紹介

ここでは、久遠堂のゲームの中からごく一部を紹介いたします。
他のゲームも、どれもかわいくて楽しいものばかりですよ!

白詰草の庭

白詰草の庭・新版 白詰草の庭・新版

女の子たちが白詰草(シロツメクサ)の冠を作る、二人用対戦ゲームです。

大きな大きな、相手より大きな、相手より豪華な。
とびきりの白詰草の冠を。

花が足りないなら、相手の花束から取ればいいじゃない

キツネと葡萄

 

嘘を付く必要がない、簡単で楽しいブラフゲームです。

お腹が空いたキツネさん。
目の前の木には、たわわに実ったぶどうがたくさん。
だけど、どの実もキツネには手が届かない。
悔しくてキツネ、毒づいた。

「どうせ、あの葡萄は酸っぱいに決まってるさ!」

マチナミトリテ

マチナミトリテ マチナミトリテ

『トリテって何?』という初心者向けの、簡単なトリックテイキングゲームです。

ここはオシャレなオープンテラス・カフェ。
旅先で撮ってきた素敵な街並みの写真を前に、旅行好きな友達たちとおしゃべりに花が咲きます。
ところが、突然の突風で写真がバラバラに!
トリック(強さ比べ)に勝って、おしゃれな街並みを揃えましょう!

久遠堂

冒険心をくすぐるお店『コノス』

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